長年、第一線でばりばり働いてきた方は特に感じる瞬間があると思います。
子育てと両立しながら、家のことも、仕事のことも、誰よりも手を抜かず、誠実にやってきた。職場でも頼りにされ、後輩の指導も任され、忙しいながらも「私は必要とされている」と実感できる日々を過ごしてきたのに。。。
そんな自分が、ふと気づいたときに感じる違和感。
——最近、任される仕事が減ってきた気がする。
——何か発言しても、軽く流されることが増えた。
——若い人たちだけで話が進んでいて、自分は蚊帳の外。
まるで、「もうあなたは必要ない」と言われたような、胸が締めつけられるような感覚。
職場の空気が、どこかよそよそしくなり、自分の存在が重荷に思われているのではと、疑ってしまう自分がいる。誰にもそんな気持ちを言えずに、毎日ただ、笑顔を作って仕事をしている……
それは、あなたのせいじゃない
まず、はっきりお伝えしたいのは、あなたが悪いわけではないということ。
年齢を重ねたから。
効率が落ちたから。
若い人のほうが柔軟だから。
そうやって、無意識のうちに自分を責めてしまうかもしれません。でも、そうではないんです。
職場という場所は、時代や人の入れ替わりとともに、求められる役割が変化していきます。あなたが悪いのではなく、「今、必要とされる形」が変わっただけのこと。あなたのこれまでの努力も貢献も、決して消えることはありません。
「必要とされない」ことは、「価値がない」ことではない
長い間、頑張ってきた人ほど、「人の役に立つこと=自分の存在価値」と感じている傾向があります。
だからこそ、「必要とされていない」と感じたとき、自分自身が存在していいのかさえ分からなくなり、辞めたい…という考えが頭に浮かぶと思います。
でも、考えてみましょう。
小さな子どもが母親の手を離れて独り立ちしたとき、母親はもう「必要ない」存在になるのでしょうか?
それは違います。
子どもが独り立ちしたとき、直接手をかけることはなくなっても、遠くで見守り、経済的な援助をしてあげたり、時には愚痴を聞いてあげたり、直接的な援助から間接的な援助に役割りが変わっただけです。
あなたがこれまでに築いてきた信頼や影響は、見えないところでちゃんと生きています。今は直接求められる場面が減っただけで、「価値がなくなった」わけではないと考えましょう。
心の持ち方:3つの視点転換
では、心が押しつぶされそうなとき、どのように気持ちを立て直せばいいのでしょうか。以下の3つの視点を、少しずつ意識してみてください。
①この時間にも、意味がある
今は「静かな時間」を過ごすときかもしれません。今まで全速力で働いてきたのですから、ペースを落として良いのではないでしょうか。少し気持ちを楽にして仕事に取り組んでみてはいかがでしょうか。
バリバリ働いていたときには気づけなかった、職場の人間関係の空気や、自分自身の心の声を感じる時間です。ゆっくりと立ち止まるこの時間にも意味があるのです。
②自分の価値は、自分が決める
他人の評価がすべてだった時期を卒業して、「自分が自分をどう思うか」に軸足を移していきましょう。
たとえば、「今日の自分はよく頑張った」「この年齢まで長年ここで健康に働いているって、すごい」と、自分を労ってあげる習慣を作ってみてください。
③新しい役割は、自分で選べる
かつては会社が「あなたの役割」を決めていたかもしれません。でも、これからの時代は違います。あなたが「何をしたいか」「どんな人でありたいか」を、自分で選べる時代です。
職場の中だけでなく、地域の活動、趣味のサークル、ボランティア、学び直し……あなたが輝ける場所は、まだまだたくさんあります。
自分が輝ける、次の場所へ向かうのもひとつの選択肢かもしれません。
最後に:あなたは、あなたのままでいい
人生には「主役の時間」もあれば、「舞台裏で支える時間」もあります。でも、どちらも大切で、どちらもあなたの人生を形作る、かけがえのない瞬間です。
今は後輩たちが主役、それを陰ながら支える時間なのだと思います。
必要とされていないと感じる今も、あなたの存在には、ちゃんと意味があります。
がんばってきた自分を、ちゃんと認めてあげて
そして、これからの人生に、もう一度自分の手で光を当ててあげること。
「あなたは、あなたのままでいい」
次のステージで輝く時がきたのです。

変化は苦痛だが、それはつねに必要なものだ。
(トーマス・カーライル/イギリスの歴史家・評論家)
人生とは、その時々に自然に変化し、移りゆくものだ。変化に抵抗してはならない。
(老子/中国の哲学者)
ありがとうございました。
50歳役職なし。キャリアカウンセラー。
タフに真面目に仕事に取り組んできた氷河期世代女性です。
50代のこれからの働き方や50代からはこれをやろうを、もがきながら考えていきます。